ビジネスの現場や社会との関係構築において、頻繁に登場するのが「広報(PR)」という役割です。
新製品の発表、企業理念の共有、危機対応、メディア取材——広報担当者はあらゆる場面で英語コミュニケーションを求められます。
しかし英語では PR(Public Relations)・Marketing・Advertising が明確に区別され、同じ「広報」でも目的や言い回しに応じて表現が大きく変わります。announce・launch・introduce・unveil のどれを使うべきか、謝罪や調整の表現はどこまで直接的に言うべきか…迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、
- 広報(PR)に必要な主要英語表現と使い分け
- 企業説明・プレスリリース・取材対応などのシーン別フレーズ
- 失礼にならない謝罪・調整・説明の言い回し
- ネイティブとの会話で意図を素早く理解するためのリスニング戦略
などがわかりますよ。
英語で企業の姿勢や取り組みを丁寧に伝え、メディア・顧客・投資家との信頼を築きたい方は、ぜひご一読ください。
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広報に必要な英語とは?マーケ・広告との違いも理解する
広報(PR)は単なる宣伝活動ではありません。企業の理念、ブランドの価値、社会と自社の関係性を伝えるコミュニケーション活動です。
英語では “Public Relations” と呼ばれ、直訳すると「公共との関係」となります。つまり自社と社会の橋渡し役です。
広告のように一方向で「伝える」のではなく、理解・信頼・共感を構築するための言語運用が求められます。
PR(Public Relations)の役割と範囲
広報には、次のような役割があります。
- Corporate communication(自社活動の説明)
- Media relations(メディア対応)
- 社会貢献やCSR発信
- 企業ブランディング
- 危機時のコミュニケーション
いずれも共通するのは、相手の理解と信頼を前提にした表現です。
日本語でも微妙な言い回しに配慮しますが、英語では文化差が大きく、丁寧さを保ちつつ直接的に伝えるバランスが重要になります。
広報 vs マーケティング vs 広告の違い
よく混同されるのがこの3つです。
- Marketing:顧客ニーズの理解と市場形成
- Advertising:製品・サービスの販売促進
- PR(広報):信頼構築・ブランドの社会的存在価値の伝達
例えば、新製品の紹介であれば広告は「買わせる表現」を強調しがちです。
しかし広報は信頼性、目的、背景を伝えます。そのため英語でのPRは、“Buy it now!” のような強い表現は避け、
- We are pleased to announce…
(〜を発表できることを嬉しく思います)- We are committed to improving…
(〜の改善に取り組んでいます)
といった丁寧な表現が使われることが多いです。
英語での広報が難しい理由(言い回し・トーン・対象者)
英語圏のコミュニケーションは一般的にダイレクトですが、失礼にならない表現が求められます。
例えば謝罪は “We sincerely apologize”(心よりお詫び申し上げます) と明言する反面、責任転嫁を避けるため “due to customers” (お客様が原因で)のような主体の置き方は慎重に扱います。
加えて、広報は複数のステークホルダーに向けて同時に発信します。
社員、顧客、投資家、取材者、官公庁…など、それぞれに伝えるべき語彙とトーンが異なり、共通言語である英語ではその差がより明確に問われます。
まず押さえるべき広報で使う英語の基礎語彙
広報業務では、専門的な用語より基礎語彙の使い分けが重要です。単語そのものは簡単でも、文脈に応じた意味変化を理解しないと不自然になります。
まずは、広報で頻出の基礎的な英語語彙・表現を見ていきましょう。
企業・組織を説明する基本英語
- mission:存在目的
- vision:長期的な理想像
- values:判断基準・価値観
- corporate philosophy:企業理念
これらの言葉は日本語に訳して終わりではなく、文脈に応じた説明を英文で添えることが鉄則です。
単語単体では抽象的すぎるため、具体例によって意味を補完する必要があります。
例:Our mission is to empower local communities through sustainable solutions.
(私たちの使命は、持続可能な解決策を通じて地域社会を支援することです。)
単語だけでなくどのように何を目指しているかまで示すことで、海外のステークホルダーにも伝わる英語になります。
【組織形態に関する表現】
- organization / institution:組織/団体
- branch:支社・拠点
- headquarters・HQ:本社
部署名も注意が必要です。
Public Relations Departmentは(広報部)一般的ですが、近年はCorporate Communications(コーポレートコミュニケーション部)が好まれる傾向があります。
なぜなら広報は外部発信に限らず、社内コミュニケーションも担うためです。
ブランド・活動を説明する語彙
- initiative:主体的な取り組み
- campaign:施策・プロモーション
- CSR:Corporate Social Responsibility
- sustainability:持続可能性
CSRやブランド活動を説明する際は単にCSR activities(CSRの活動)とだけ述べると、情報が不足し背景や目的が伝わらない場合があります。
必ず背景・目的・成果を添えましょう。
例:We launched an initiative to reduce packaging waste by 30% over the next two years.
(今後2年間で包装廃棄物を30%削減するための取り組みを開始しました。)
具体的な数字や期間を提示することで、信頼性と伝達力が大幅に向上します。
言い換えで避ける失礼表現・曖昧表現
広報英語で最も注意したいのは、日本語の感覚で直訳した曖昧表現です。
特に謝罪や品質改善に関する文では、責任回避に聞こえるワードは避けましょう。
避けるべき例
- We are trying our best.(最善を尽くしています。)
→ 政策不備・管理不足の言い訳に聞こえる可能性があります。- We will fix it soon.(すぐに修正します。)
→ 具体性がなく、対応の遅延や再発を懸念させる表現です。
適切な言い換え
- We are working with our partners to ensure…(〜を確保するため、パートナーと協力して取り組んでいます。)
→ 主体性・協働・継続的努力を示せます。- We expect to complete the investigation by…(〜までに調査を完了する見込みです。)
→ 期限・責任・透明性を明確にできます。
英語では曖昧な表現は「誠意」ではなく「未決定」「責任回避」として受け取られることがあります。だからこそ広報英語では、具体性・透明性・根拠を最優先することが重要です。
シーン別|広報で使う英語フレーズと実例
広報英語は「正しい単語」ではなく「正しい型」を押さえると一気に楽になります。
ここではそのまま使えるテンプレートを場面別に紹介します。
企業・サービス紹介
■ 会社概要テンプレ
Our company is a leading provider of ___, offering innovative solutions in ___.
(当社は___の主要な提供企業であり、___分野に革新的なソリューションを提供しています。)
■ 理念紹介テンプレ
Our mission is to ___, and we are committed to ___.
(私たちの使命は___であり、___に取り組んでいます。)
例:Our mission is to deliver accessible healthcare technologies, and we are committed to improving patient experience worldwide.
(私たちの使命は誰もが利用できる医療技術を提供することであり、世界中の患者体験を向上させることに取り組んでいます。)
広報文では、誇張表現を避けることが基本です。
“the biggest”(最大の)、“the best”(最高の) のような断定は客観性に欠け、ステークホルダーに不信感を与える可能性があります。
事実・成果・目的を軸に説明する姿勢を大切にしましょう。
プレスリリース(新製品・業務提携・イベント)
■ タイトル
“Company A Announces Strategic Partnership with Company B”
(A社、B社との戦略的パートナーシップを発表)“Company A Launches New AI-powered Platform”
(A社、新たなAI搭載プラットフォームを発表)
announce / launch / introduce / unveil といった動詞の選び方で距離感が変わります。
“announce” は公式性、“launch” は開始・市場導入、“unveil” は新しいもののお披露目のニュアンスがあります。
■ 本文構造
- Purpose:目的
- Background:背景
- Details:内容
- Contact:問い合わせ
この構造を統一することでメディアが必要な情報を探しやすくなるため、結果的に報道の機会が増えます。
■ 掲載例
For media inquiries, please contact:
(メディア関連のお問い合わせは以下へご連絡ください。)Public Relations Office(広報部)
press@company.com(連絡先を記載)
■ Quote(コメント)
“We believe this partnership will accelerate…” said CEO John Doe.
(「この提携は〜を加速させると考えています」とジョン・ドウCEOは述べました。)
コメントは直接引用が原則です。要約は誤意訳や不信感につながりやすく、広報の信頼性を損なうリスクがあります。
メディアからの問い合わせ対応
■ 返信テンプレ
Thank you for reaching out.
(ご連絡いただきありがとうございます。)We appreciate your interest in our activities.
(当社の取り組みに関心をお寄せいただき感謝いたします。)
■ 取材の可否
We would be happy to arrange an interview.
(取材の機会を設けられれば幸いです。)Unfortunately, our spokesperson is unavailable at the moment.
(恐れ入りますが、現在担当者の対応が難しい状況です。)
■ 期限調整
Could we request additional time to prepare the information?
(情報をご準備するため、もう少しお時間をいただくことは可能でしょうか。)
広報イベント(展示会・記者会見・発表)
■ 司会
Thank you for joining us today.
(本日はご参加いただきありがとうございます。)
We will start shortly.
(まもなく開始いたします。)
■ Q&Aで回答できない場合
We will follow up with the detailed information via email.
(詳細につきましては後ほどメールにてご連絡いたします。)
曖昧な回答は信頼低下に直結します。後日のフォローを約束した場合、必ず実行することが重要です。
危機広報
危機対応では、謝罪・透明性・責任が最優先です。この順番を誤ると信頼性は一瞬で損なわれかねません。
■ 基本型
We sincerely apologize for the inconvenience this has caused.
(この度はご不便をおかけし、心よりお詫び申し上げます。)
■ 説明責任
We are conducting a thorough investigation to identify the cause.
(原因を特定するため、徹底した調査を進めています。)
■ 避けるべき表現
- It was not our responsibility.
(それは私たちの責任ではありません。)- We did nothing wrong.
(私たちは何も悪いことはしていません。)
否定は責任逃れとして受け取られ、炎上の火種になります。
広報では「できていること」より「これから何をするか」を明確に示すことが重要です。
広報文章を英語で書くコツ|プロっぽい言い回し
広報英語に必要なのは「格好いい英語」ではなく、「誤解を与えない英語表現」です。
読み手は顧客だけでなく投資家、政府、社員、競合企業など多岐にわたるため、どの立場の人からみても客観的でわかりやすい文書になるよう注意しましょう。
ネイティブに自然なトーンを作るルール
以下のルールに沿って文章を書くと、広報として適切なトーンの英語になります。
- 主語は We / Our で統一
- 特定個人ではなく組織としての意志を示す
- 断定ではなく具体的な根拠を添える
例:
- We are committed to supporting local communities.
(私たちは地域社会を支援することに取り組んでいます。)- Our approach focuses on fairness and sustainability.
(私たちの取り組みは、公平性と持続可能性に重点を置いています。)
日本語直訳のNG例と自然な言い換え
広報英語では「直訳できるか」よりも「どう受け取られるか」が重要です。日本語では誠意や努力を示す表現でも、英語では曖昧・責任回避・自画自賛として捉えられることがあります。
以下に、実務で避けるべき典型的な直訳と、ネイティブが自然と感じる言い換えをまとめました。
不自然・誤解されやすい表現
- We have many products.(当社には多くの製品があります。)
→ 具体性がなく、説得力に欠ける表現- We are doing our best.(私たちは最善を尽くしています。)
→ 努力の主観表現は言い訳や責任回避として受け取られやすい
自然でプロフェッショナルな言い換え
- We offer a range of solutions tailored to…
(当社は〜に合わせた幅広いソリューションをご提供しています)- We are working to ensure safety in collaboration with…
(私たちは〜と協力し、安全性の確保に取り組んでいます。)
offer・working to ensure・collaborationなどは、具体的な行動・姿勢・仕組みを示し、広報らしい客観性を保てます。
英文広報で避けるべきマナー表現
広報では「相手にどう聞こえるか」が評価の軸になります。
英語では特に、過度な自信や根拠のない主張は信頼性を損なう表現として捉えられやすく、ブランド価値を下げる原因になります。以下は誤解を招く典型例です。
①exaggerated claims(誇張表現)
→「世界一」「絶対に失敗しない」など根拠のない断言
②unverifiable facts(根拠不明の主張)
→第三者が確認できない数値・成果
③biased claims(自画自賛的な表現)
→他社と比較して優れていると一方的に強調
広報は証拠ベースで語る必要があります。数字、第三者評価、実績、継続的な活動——これらが信頼を支える要素です。
「強い言葉で魅せようとする」より、裏付けのある説明が最終的な信用につながります。
広報の英語を使いこなすには
広報に関する英語表現を本当に使いこなすためには、単語や表現を覚えるだけでは不十分です。
実務で学んだ表現を活かすにはリスニング力が必要な理由と、リスニング力向上の方法を解説します。
会見・取材は「リスニング力」次第で結果が変わる
広報英語を使いこなす上で強く意識したいのは、会見や取材の英語は単語ベースで聞き取るものではないという点です。英語圏の記者質問は短く、核心を突く表現が多いため、単語の意味が聞き取れただけでは意図を理解できない場面が生まれます。
例えば次の質問を考えてみてください。
“Will you roll out the service globally?”
(そのサービスをグローバル展開する予定はありますか?)
この “roll out” の音が聞き取れなければ、質問の本質である計画の有無・スケジュール感・戦略性などを理解できません。その結果回答がずれてしまうことも。
質問の意図を誤解した回答は、そのまま外部に引用されます。メディア掲載やSNS拡散により、不適切な発言が企業の姿勢として固定されることも珍しくありません。
さらに広報の現場では、質問は1回だけです。
「聞き返せばいい」「後で丁寧にメールすればいい」という発想は、会見や展示会では通用しません。
一瞬で理解し、一瞬で適切なトーンで返す力こそが、英語で広報対応を成功させる鍵なのです。言い換えれば、英語の質問を音として正確に捉え、その意図を即座に判断できるリスニング力こそが、広報担当者の武器になります。
広報英語を使いこなすための第一歩は、語彙ではなく音を理解する力を鍛えることなのです。
リスニング力向上にはシャドーイングが最適
前述の通り、広報で使う英語を実務レベルで運用するには、相手の発言内容や背景、温度感を正しく理解できるリスニング力が欠かせません。
シャドーイングを英語学習に取り入れ、リスニング力を向上させましょう。
シャドーイングとは?
シャドーイングとは、英語音声を聞きながら1〜2語遅れて声に出して追いかける学習法です。
文字を頼りにせず耳だけで処理するため、取材対応や会議での英語に近い負荷を再現できます。
シャドーイングの効果
シャドーイングを継続すると、英語の音を単語・フレーズとして捉える「音声知覚」が鍛えられます。
広報の現場では、この力が決定的な差を生みます。例えば以下の1文。
“Will you roll out the platform globally?”
(そのプラットフォームをグローバル展開する予定はありますか?)
ネイティブが話すと、roll out the が連結し「ローアウダ」のように聞こえます。音声知覚が十分でないと、“roll” と “out” が聞き取れず、質問の意図が不明確になりがちです。
しかし音声知覚が鍛えられていると、音から即座に単語・フレーズがイメージできるようになり、意味理解にも余裕が生まれます。結果として音を聞いてから理解するまでの一連のリスニングプロセスがスムーズになり、リスニング力が向上するのです。
さらにリスニング力が向上することで回答の作成にも余裕が生まれ、会話のテンポを落とさずに対応できます。会見・展示会・記者対応のような秒単位の判断が求められる現場でこそ、シャドーイングの力が発揮されるのです。
加えて、英語特有の音の連結・脱落・リズムを模倣することで、自分の発音もより滑らかになり、聞き手にストレスを与えない話し方が身につきます。

まとめ|広報の英語は「表現力×リスニング」で成果が変わる
広報で使用する英語は、単語の暗記ではなく信頼の構築を目的とします。
謝罪・理念・説明・提携——どの場面でも、距離感のある正確な英語が求められます。そしてその土台になるのがリスニング力です。
前項でご紹介したシャドーイングで音声知覚を向上させ、広報に必要なリスニング力を効果的に身につけましょう。
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英語を実務で自然に使いこなしたい方こそ、シャドーイングを習慣化する価値があります。
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